ADDSは自閉症児を支援する人の“学びの場”です

効果的な療育方法

ADDSでは、「ABA(Applied Behavior Analysis; 応用行動分析)」と呼ばれる手法を用いて療育を行うことが、効果的な療育であると考えています。

子どもの行動を、環境との相互作用の枠組みで捉える理論。

行動分析学の理論を応用し、環境と個人の相互作用の視点から、 人間の行動の予測と制御を臨床場面で用いたのが応用行動分析(ABA)です。

ABAは、発達障がいのある個人への支援に関して、保育、早期支援、保健、教育、生活、福祉、就労、医療、リハビリテーションなど広範囲にわたって、大きな成果を上げています(Cooper, Heron, & Heward, 2006)。  「ABA=自閉症の早期早期療育」と誤解されやすいのですが、ABAは特定の支援技法ではなく、共通の理論、方法論、運用論をもつ科学的なヒューマン・サービスの包括的な体系です(Yamamoto & Shibuya, 2009)。

ABAは、行動の前後の出来事に着目することで、人の行動を変容させたり、 新しい行動を教えたり、不適切な行動をなくすといった事が可能であり、 その事実はこれまで、多くの研究によって科学的に示されてきました。

ABAの特徴は?

①問題の原因を環境側に求める
障がいにまつわる問題の原因を子供自身に求めるのではなく、 子供を取り巻く環境に求めることで解決を図ろうという大変ヒューマニティックな視点を持っています。 発達障害を抱える子供は、定型発達の子供に比べて周囲の環境を理解し、 そこから自然に学ぶという点に困難を抱えるため、環境側の刺激を操作する事で子供の学習を促進する事を目指します。

②悪い行動には注目せず、良い行動を増やす
出来ない行動や不適切な行動を変える事に重点を置くのではなく、 子供が出来る適切な行動を増やしていくことで、相対的に不適切な行動を減らしていくという方法を取ります。 通常の対応では、適切な正しい行動は当たり前のこととして注目を得ず、悪い行動ばかりが注目され、 叱られるなどの働きかけを得がちです。しかし発達障害を抱えるお子さんは、適切な行動のレパートリーが少ないため、 不適切な行動にばかり注目し叱ってもどうしていいか分からず、改善するのが困難です。 そこで、今出来る適切な行動に着目し、そこに働きかけ広げていくことで、相対的に不適切な行動を減らしていきます。

ABAでどのように教えるの?

最も基本的な教え方はこの3ステップから成り立ちます。

1. 弁別刺激(先行刺激):簡潔な指示や分かりやすい教材を使って働きかける。

2. 反応:子どもが反応できなかったり課題が難しい場合はプロンプト(お助けヒント)を出し、お子さんの反応の手助けをする。

3. 強化子(後続刺激):子どもが反応できたら、直後にお子さんの好む物や活動、褒め言葉を提示する。

この後、徐々にプロンプトを減らしていくことで、自発的な反応へと導いていきます。 また強化子も、日常の中で自然と使えるものに移行していきます。

ABAで何ができるの?

①問題行動の分析と対処

ABAの理論を用いて、問題行動の前後の出来事を分析します。 それにより子どもの行動がどのような機能を持っているものか見極めてから対処することで、問題行動を減らしたり、もっと適切な別の行動に置き換えます。

②日常生活における子育ての工夫

ABAの基本的な手法を用いて、子育てを工夫します。 生活に必要なスキルや毎日の決まった活動などを、日常の場面の中で、教えていきます。

③認知・コミュニケーション能力の底上げ

発達の過程で子どもが獲得するべき基礎的な能力を、 ABAの理論を用いて、集中的・効率的に教えていきます。 模倣や指示理解、言葉やカードを使ったコミュニケーションの練習などを行います。

(引用文献)
Cooper, J. O., Heron, T., E., & Heward, W., L. (2006). Applied Behavior Analysis (2nd ed.). Upper Saddle River, NJ: Prentice Hall.

山本 淳一 (著), 加藤 哲文 (著), 小林 重雄 (監)(1997)『応用行動分析学入門―障害児者のコミュニケーション行動の実現を目指す』学苑社.

Yamamoto, J., & Shibuya, N. (2009). Evidence-based support for persons with developmental disabilities: contribution of applied behavior analysis. Japanese Journal of Behavior Analysis, 23, 46-70.